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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』より抜粋・転載 |
軽金属の定義 |
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軽金属(けいきんぞく)とは、金属のうち、比重が4ないし5以下のものを指す。鉄は比重が7.85であるため軽金属には入らない。代表的な軽金属は、アルミニウム(比重2.7)、マグネシウム(比重1.7)、ベリリウム(比重1.9)、チタン(比重4.5)、アルカリ金属、アルカリ土類金属などが挙げられる。
製錬するのが技術的に難しかったため、人類が軽金属を使いこなしたのは17〜18世紀ごろ以降である。さらに大量生産が可能になったのは19世紀以降である。例えば、アルミニウムの大規模製造に適した融解塩電解法は1886年にフランスのポール・ルイス・トゥーサン・エルー
(Heroult) とアメリカ合衆国のチャールス・マーティン・ホール (Hall) がそれぞれ独自に開発したものである。チタンは、1946年にウィリアム・ジャスティン・クロール
(Kroll) が開発したクロール法によって初めて大量生産が可能になった。
1903年に発明された航空機の発達は、軽金属なしではあり得なかった。近年では鉄道、乗用車なども含めた輸送機器の軽量化のために使用されるようになったが、その量は鉄に比べて圧倒的に少ない。例えば、2003年の銑鉄の生産量は5億トンだが、比較的生産量の多い軽金属であっても、アルミニウムは2500万トン、マグネシウムは50万トンに留まる。
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アルミニウム |
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アルミニウム(Aluminium, Aluminum,
アルミニューム、単に、アルミと略して言うこともある):原子番号 13番目の元素。元素記号は Al。軽量で、比較的良い熱伝導性、電気伝導性を持つ金属。常温、常圧で安定な結晶は、FCC構造。比重は、2.7で、融点は摂氏660.2℃、沸点は摂氏2060℃(2467℃、2400℃という実験値あり)。酸やアルカリに侵されやすいが、空気中では表面に酸化膜ができ、内部は侵されにくくなる。
ボーキサイトが原料で、アルミニウムを作るには大量の電力を消費する。このためアルミニウムのことを“電気の缶詰”と呼ぶこともある。
軽く、耐食性(←酸化被膜による)があり、加工も楽であるため、アルミニウムのままだけでなく、軽合金などの形でも広く利用されている。ジュース類に使われるアルミ缶は身近に使われている例の一つ。
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マグネシウム |
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マグネシウム(Magnesium、稀にマグネシュームと書かれている場合あり。英語読みはマグニージウム、マグニージュウム):原子番号12の元素。1808年、ハンフリー・デービーにより発見される。元素記号はMg。アルカリ土類金属の一つ(現在は、狭義の意味ではアルカリ土類金属に含めない)。比重は1.74、融点は摂氏650℃、沸点は摂氏1107℃(沸点は異なる実験値あり)。主に海水中に溶けている塩化マグネシウムを取り出し、それを溶融塩電解することによって得られる。純粋なマグネシウムは酸化され易い。非常に軽い軽合金の材料として重要である。苦土(くど)ともいう。 |
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チタン |
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チタン(独Titan(ティタン、タイタン)、英Titanium(チタニウム、ティタニウム、タイタニウム、タイタニアム)):原子番号22の元素。元素記号はTi。チタン族元素の一つで、金属光沢を持つ遷移元素である。
地球を構成する地殻の成分として9番目に多い元素で、遷移元素としては鉄に次ぐ。ルチルやイルメナイトといった鉱石の中に多数含まれる。チタンの性質は科学的、物理的にジルコニウムに近い。
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ベリリウム |
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ベリリウム (Beryllium)は、金属元素の一つで、元素記号
Be で表される。原子番号は 4 であり、原子量は約9.012である。常温、常圧で安定した結晶は、六方最密充填構造(HCP)を持つ。比重は、1.85、融点は摂氏1300度ほどで、沸点は摂氏2970度である。銀白色の金属で、空気中では表面に酸化被膜が生成され安定に存在できる。モース硬度は6から7を示し、硬く、常温では脆いが、高温になると展性、延性が増す。酸にもアルカリにも溶ける。銅との合金は、高抗張力で弾性が大きい性質を持つ。
アルファ線照射により中性子を放出する中性子線源であり、原子炉での中性子反射減速材として利用される。 |
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